エンジンを使わず風と水の力だけで進むエジプトの伝統的な帆掛け船「ファルーカ」
直進できず風まかせ。
風がない日はセーリングできず、日没前には岸にもどらなくてはいけない。
アスワン近郊はナイル川の透明度も高く、ファルーカを楽しむには絶好の地だそうです。
参加したツアーにはファルーカ体験が含まれていましたが、日中イシス神殿などを観光している時には風がなく、現地ガイドさんがファルーカは出航できないかもと心配していたのですが、乗り場に着く頃、あら不思議良い風が吹いてきました。
私たちはクルーズ船の客室に装備されていたライフベストを出発前に装着練習をして各自持参。
ファルーカ乗船時に着用しましたが、ほとんどのファルーカでは非装着。
荒波があるわけではありませんが、安全のためには装着した方が安心感があります。
ちなみにこのあたりに生息していたワニはアスワンハイダムが造られて絶滅したそうです。
アスワンのナセル湖にはいるらしいですが。
ファルーカの漕ぎ手はヌビア人の方だそうです。
ヌビア (Nubia) は、エジプト南部アスワンあたりからスーダンにかけての地方の名称。
ヌビア語を話すそうです。
ナイル川を風にまかせてゆったり進み、漕ぎ手がタンバリンのような楽器でリズムをとりながら歌を唄う。
最後は日本人向けに覚えたのでしょう。
『上を向いて歩こう』をツアー全員で大合唱。
何しろ同世代ですから。
同じツアーにたまたま参加しただけですが、すでに1週間くらいが経って和気藹々の雰囲気です。
たくさんのファルーカの側には小さなサーフボードに乗った子どもたちが伴走しているので、遊んでいるのかと思った。
私たちのファルーカにも子どもが手をかけついて来る。
そして綺麗な声で歌い始めるのです。
遊びではないのです。
れっきとしたお仕事なのです。
観光地でバスを降りる度に子どもたちに囲まれます。
『ワンダラー、ワンダラー!』
多くの場合はパピルス風のブックマーク4〜5枚で1ダラー。
1ドルくらいならあり?なんてツアーのお仲間たちと話したこともありますが、現地ガイドさんから絶対に買ってはいけないと、何度も釘を刺されていました。
買おうとした途端に、元締めのヤクザ(ガイドさん談)がでてくることがあるそうです。
どこに行ってもこのワンダラー、これが切なさ過ぎる。
ツアーのお仲間には同じ年頃のお孫さんを思い出し、辛いとおっしゃる方もいらっしゃいました。
走る馬車を全速力で追いかけてくる子。
転んだのか、殴られたのか顔に青タンのある子。
旅行中ずっとこれが切なかったです。